生育暦 :高校

グループに馴染めない :高校時代3

入学式の後、「お昼一緒に食べない?」と声をかけたのは私からだった。

相手にはすでにクラス内に友達がいて、私が加わることで4人グループとなった。

何とかグループに入れて一安心。

しかし、そう思ったのもつかの間だった。

全く話しが合わない。

彼女達の一番の関心事といえば「恋愛」だった。

来る日も来る日も、誰がカッコイイとか好きだとか、そんな話しばかり。

しかし、私は恋愛事に興味がない。

逆に私が面白いと思ったことを話しても、全くうけず白けムード。

ネタがすべりまくっている、お笑い芸人状態だ。

あまりに興味の対象が違いすぎる。

私には、彼女達が興味を引くような話題を提供することが全くできず、だから黙っているしかなかった。

ただそこにいて話を聞いているだけの私は、次第にグループの中で浮いた存在になっていった。

入学後しばらくして、クラス内に自分と話しが合いそうな子が他にいると分かったのだが、しかし今更グループを抜けるというのも難しい。

いったん出来上がってしまったグループは、簡単に出たり入ったりできるものではないのだ。

友達選びを間違えた。

自分からグループを抜けて他に移るべきか、止めたほうがよいのか悩んでいるうちに、グループ内の緊張度はさらに増していった。

そして夏休み明けのある日。

グループを抜けるよう言われた。

自分を知る者のいない、自宅から遠く離れた高校で、人生をやり直すはずだったのに…。

目の前が真っ暗だ。

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高校の教育方針が合わない :高校時代2

高校選びを間違えた。

失敗した…。

そう感じるのに時間はかからなかった。

入学してすぐ体に変調をきたすようになった。

毎朝、口の中がカラカラに乾いて朝食が喉を通らない。

唾液が全く出ないのだ。

原因は睡眠不足と環境の違いによるストレスだろう。

高校では、教育方針が中学とは全く違っていた。

中学では宿題がほとんどでなかったのに、高校では毎日大量の宿題が出て、深夜までかかっても全てをこなしきれない。

いつも4時間程度しか眠れず、完全に睡眠不足だった。

数学では授業の流れが速くて、黒板を写しきる前に消されてしまう。

写しきれないから、当然授業が分からなくなる。

先生に聞きたくても、数学の先生の授業準備室はタバコの煙が充満していて、タバコを受け付けない体質の私はとても部屋に入れなかった。

そして、授業の中でも特に酷かったのが英語だ。

信じられない手抜き授業だった。

授業では文法について教えるようなことは一切なく、宿題の答え合わせしかしない。

その宿題も、全く習っていないことを自分で予習して問題を解いてくるというもので、習っていないのだから当然分かるはずがない。

その上、先生が黒板に書く文字は全て筆記体なので読めなかった。

私の通っていた中学では、受験で不利になるという理由から、筆記体は使わないよう指導されていたのに…。

中1の時に筆記体を習ったきり全く使わなかったので、書き方も忘れてしまっていた。

螺旋の連なりが続く筆記体は、形のよく似た文字が多いので判読が難しく、何が何だか分からない。(例えば大文字の F と T 、 L と Q 、小文字の b と f 、e と l など…)

ブロック体で書いほしいと先生にお願いしても、直してくれるのはその時だけだ。

この様な授業方針には全く馴染めず、大変なストレスを感じた。

中学では英語が得意科目だったというのに、全く分からない。

高校では塾にも行かせてもらえなかったので、どこでも補うことができず、成績は一気に下がった。

「高校生に塾は必要ない」と言って頑として譲らなかった親も、あまりの成績の酷さに途中から考えを改めてくれたが、もうその時には手遅れだった。

すっかり自信を失った私は、中学で習ったことさえ分からなくなっていた。

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友達づくりのプレッシャー :高校時代1

小学校時代にイジメられていた私は、自分の過去を知る者のいない遠くの高校で、1から人生をやり直すことにした。

入学したB高校は、自宅から電車で1時間近くかかる。

私の望みどおり、同じ中学から入学する者はほとんどいなかった。

高校は中学と違って広い地域から学生が集まるわけだから、最初は誰もが知らない者同士に違いない。

全員が同じスタートラインに立ち、1から友達関係を作ってゆくのだ。

そう思っていた。

しかしそれは、大きな誤算だった。

すでに入学式の時点で周りの子には友達がいて、グループが出来はじめていた。

何でもう友達がいるの!?皆は初対面じゃないの!?

焦った。

なぜこんな不可解なことが起こるのか、ワケが分からなかった。

皆は入試の時に友達を作ったのだろうか?

私は何か踏むべき手順を間違えたのだろうか?

パニック状態だ。

B高校は山奥の田舎にあり、近くに他の普通科高校がないため、地元中学生の多くが同じ高校に進学する。

だから地元の人間同士で顔馴染みが多く、入学初日から皆には友達がいたのだ。

しかし、ずっと文教地域に暮らしてきた私には全くの想定外で、こんな事になろうとは思ってもみなかった。

友達はゆっくり作ればいいと思っていたのに、完全に出遅れてしまっている。

新しい環境で人生をやり直すはずだったのに…。

昼までに、お弁当を一緒に食べる友達を作らなければ孤立決定だ。

  孤 立
   ↓
  嫌われ者のレッテル
   ↓
  暗黒の青春時代
   ↓
  人生の建て直し失敗
   ↓
  大学受験失敗
   ↓
  敗北人生

最悪のシナリオが思い浮かぶ。

友達ができるかどうかで人生が決まるのだと思うと、もの凄いプレッシャーだ。

とにかく焦る。

入学式の後、友達になれそうな人はいないかと周囲を見回したが、焦っているせいか気の合いそうな子を見つけられない。

しかし、あまり選んではいられない。

何しろタイムリミットは、今日のランチタイムなのだから。

早く誰かに声をかけなければ。

よし、あの子にしよう。

ターゲットを決め、声をかけるタイミングを見計らう。

「ねえ、お昼一緒に食べない?知ってる人いなくて1人なんだ」

ムチャクチャ緊張しながら声をかけた。

友達をつくらなければというプレッシャーを、これほどまでに感じたことは今までなかった。

中学までは給食があり、自分の席で食べることになっていたから、焦って弁当友達を作る必要がなかった。

1人でいても困らないから、性急に友達をつくる必要がなく、ゆっくりと親しくなっていくことができた。

しかし、高校ではそんな悠長なこともいってられない。

否応なく友達づくり競争にまき込まれていった。

            つづく

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